Ambition of TABACYA1
ince 21 SEP. 1997
コラム

むくちゃん2

むくちゃんはおとなしく、初めて鳴き声をきいたのは我が家に来てから3日たってから一声「わん」という感じでした。

こっそりと家にあがっては、私の人形などを自分のダンボールに持ち込んでみたり、靴をくわえてどこかに隠したりしていました。

その度に母に怒られ下駄箱の奥のほうにぶるぶる震え固まっていました。

むくちゃんはすくすくすくすく育ちました。近所の人々は何事もなかったように「おおきいね・・」と口々に言いました。私では散歩不可能な時期もありました。家族一同一度はむくちゃんに引きずられた経験をしました。よしっ。それなら、それを活かして何かしようと、自転車や三輪車につなぎひっぱらせたこともありましたが、みぞにはいったり止ったり、急に走ったりするので、危ないだけでした。

むくちゃんは散歩好きでしたが、散歩に行くのはなかなか大変なので、むくちゃんが満足するほどの散歩ができていなかったのか、むくちゃんは夜中何かの拍子に鎖がはずれたのをいいことに、近所を走り回っていたようです。(大きいし、しかも嬉しくてとびつく犬なので出会った人は恐かったことでしょう)朝新聞を取りにいくと、玄関の前に座り、嬉しそうにしっぽを振っていました。

体は大きいむくちゃんですがやさしいのか、気が弱いのか、めったに吠えることなく、餌を野良犬や、すずめに取られても、端っこのほうで、尻尾をふって、小首をかしげたりしていました。

そんなむくちゃんと私にピンチがやってきました。むくちゃんの散歩中大きな犬が離されていて、むくちゃんと私に向かってきたのです。私は、気の弱いむくちゃんを逃がさなくてはと、持っていた鎖を放しました。一目散に逃げると思っていたむくちゃんは、なんとその大きな犬に向かっていったのです。えっあの猫になかれても逃げてしまうむくちゃんが…と私はびっくりしました。そうか、弱いものには優しく、強いものには向かって行けるのか・・そうか…さすがは、我が家のむくちゃんと誇らしい気分になったのでした。

コラム情報
タイトル
むくちゃん2
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掲載日
2003/11/24
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