Fin

ドラマ「北の国から」が2002/9/6~7の放映をもって終了した。金曜日に野暮用があり観れなかったのだが、ビデオで日曜日にぶっ通しで観た。

連続ドラマの頃はたまに観る程度だったのが、なぜかスペシャルになって以来欠かさず観ていた。シナリオもすべて揃っている。今回の「2002 遺言」のシナリオも放映前に買って読んだ。「'87 初恋」からはビデオにも撮って保存してある。

自分でも何故こんなに好きなのかは解らないのだが、強いてあげれば倉本聰の「泣かせ」の脚本のせいなのだろう。「泣き」を期待している自分がいるのは確かである。

ドラマや映画で「泣く」ということは「癒し」に繋がると思う
なぜかさっぱりするのだ。

で、今回も、中ちゃんの奥さんとの一連のシーンや、蛍と快の乗った電車を追いかける五郎とそこに被さる純の語りやらで泣かされたのである。

ここで、ちょっと長くなって恐縮だが、私が一番泣いた、たぶんこのドラマを観ていたすべての人が泣いたと思う「'87 初恋」のラストシーン、純が東京へ旅立つところを引用する。

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運転手、フロントグラスの前に置かれた封筒をあごで指す。
純「ハ?」
運転手「しまっとけ」
純「ーー何ですか」
運転手「金だ。いらんっていうのにおやじが置いてった。しまっとけ」
純「あ、いやそれは」
運転手「いいから、お前が記念にとっとけ」
純「いえ、アノ」
運転手「抜いてみな。ピン札に泥がついている。おまえのおやじの手についてた
    泥だろう」
純。
運転手「オラは受取れん。お前の宝にしろ。貴重なピン札だ。一生とっとけ」
純。
ーー。
恐る恐る封筒をとり、中からソッと札を抜き出す。
二枚のピン札。
ま新しい泥がついている。
純の顔。
純の目からドッと涙が吹き出す。

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この巧さ。
それまでのストーリーの前振りをすべて受け止めて昇華させてしまうドラマチックさ。
クサイと言われようが、このドラマだけは許す。
そのドラマが終わってしまった。「遺言」とは後世に残す言葉である。

新しい世代の、泣かせてくれるドラマが出現することを期待してやまない。

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