そば湯と湯桶と重箱と
おそば屋さんでは「ざるそば」をいただいた後に「そば湯」を出してくれます。最近では、ごく当たり前の事ですが、私が子供の頃には、関西ではあまり馴染みが無かった気がします。(「そば」より「うどん」の文化だからという人もいますね。)
「そば湯」は、「おそば」を茹でた「お湯」なのですが「栄養価が高くて、良いそばの場合は風味も・・・」とかいう蘊蓄(うんちく)は、まあ今回のお話とは関係無いので省略します。(笑)
で、今回は、この「そば湯」が入れられて出てくる「湯桶」のお話です。
「湯桶」なんと読みましたか?「ゆおけ」と読んだ方、残念。正解は「ゆとう」と読みます。
え?なんで、どうみたって「ゆおけ」じゃん?と思うでしょ?そうなんです。この漢字は「ゆおけ」とも読みます。いや、むしろ子供の頃に習った「音読み」「訓読み」で言えば「湯(ゆ)」と読むなら「桶(おけ)」と読むのが正しいだろ?と思いますよね。
実際、この「湯桶」を「ゆおけ」と読んだ場合は、平たい円筒形の容器(昔、銭湯によくあった黄色い「ケロリン」のものとか)のことを指します。ところが、これを「ゆとう」と読んだ場合には「そば湯」が入れられて出てくる「漆塗り」の容器を指すんですね。(もちろん「漆塗り」でない「模造品」も含まれます。)
熟語の読みとして、上の文字を「訓読み」で下の文字を「音読み」で読んでしまうのは、変じゃないか?っと思ってしまいますが、実は世の中には結構あったりします。(「朝晩(あさばん)」とか「雨具(あまぐ)」とか。)
逆に「音読み+訓読み」は、無いのか?と言うと、有名なのは「重箱」がそうですね。訓読み+訓読みだと「重ね箱(かさねばこ)」になるんでしょうか。こちらは、箱の中にまた箱がある様な重なり方が多い様ですが、辞書にも載っていないので、詳しくは判りませんね。
まあ、実生活に置いては、意味が通じる事が大事ですから「そば湯」が入った容器が「湯桶(ゆとう)」であろうが「そば湯入れ」であろうが構わない訳ですが。
私の昔の同僚で「総花的(そうばなてき)」を「そうかてき」と読んでいるのがいました。会話の中で、さりげなく「そうばなてき」と読んで諭してみたりしたんですけど、本人は、それの方が正しいと信じているので直りません。まあ、私もあえて、それ以上は言いませんでしたけど。(まあ、意味は通じていましたから。)
なにせ、人付き合いにおいて「重箱の隅をつつく」のは、あまり賢い選択ではありませんからね。(笑)